主体的に言葉を学ぶことで、人生の応用力を身につける

文学科英米文学専修 舌津 智之 教授

2016/01/14

教員に聞く!文学部で学べること

OVERVIEW

文学科英米文学専修 舌津 智之 教授に「文学部で学べること」と題して、インタビューしました。

昨今「多様性」という言葉が盛んに取り上げられていますが、それを考える際に現在という断面だけで捉えてしまうと正しい理解はできません。例えば日本の文化と比較してみると、アメリカは両極端な文化的性質を持っています。人権意識が高い国ではありますが、同時に過酷な差別の歴史を抱えていますし、物質主義的姿勢への反動からカウンターカルチャーが生まれるなど、価値の両極に振れながら進んでいくのがアメリカのダイナミクスです。その過程で何があったのか、苦闘や嘆きの歴史を知らず、受け身に「今」だけを見ていると、一面的な理解に留まってしまいます。

人文学とは、現在に繋がる過去や歴史を主体的に学んでいく学問です。たとえば今、日本でもアメリカでもヒップホップが流行っている。ではヒップホップが生まれる前のアメリカの音楽はどうだったのかと興味を持って遡ることで、ブルースにまで辿り着く。我々は情報が蓄積される時代に生きており、自分自身の意思で好きな過去の時代の中に身を置くことが可能です。それがどのように今の時代に辿り着いたのか、主体的に時間を遡っていくことで、世界はどんどん開けてきます。
科学の発達によって、物理的な現実を生き延びるためのテクノロジーは大きく進歩しました。けれども、苦悩や悲しみのような精神的な問題をテクノロジーは解決してくれません。そうした困難の際、小説の言葉や一片の詩に救われることがあります。四月に何かつらい気分を味わったとします。五月病になる人はいても、四月は誰もが楽しそうで、ますます孤独が募ります。しかし、四月のつらさを語る詩や歌は存在します。そうした多様な「四月」を知れば知るほど、それらを自分が経験する現実の四月とリンクさせ、試練に向きあう抵抗力や実人生への応用力を高めることができます。受け身に情報を聞き流すのではなく、主体的に言葉を獲得し、血肉化することが大切です。
もちろん、テクノロジーがもたらしたメリットも多々あります。気になる英米文化の研究でわからないことがあれば、今では海外の著者にインターネットを通じて直接連絡をとって、質問や議論をすることも可能になりました。こうした主体的な取り組みにより、現在と過去の双方から学べるのが文学部の面白いところ。入学されるみなさんの世界を広げるきっかけを提供したいと思います。

(取材日:2016年1月14日)

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