文学部キリスト教学科

人間学としてのキリスト教学。キリスト教が影響を与え、与えられた、思想・文化・芸術を学びます。

特徴

キリスト教学科のコンセプト
キリスト教学科は、世界の歴史や文化に大きな影響を2000年にわたって与え続けてきた「キリスト教」をさまざまな角度から解明することを、その主題としています。
例えば、ヨーロッパで誕生した文学、音楽、美術などの多くは、聖書との関連が深いため、その真の意味や価値を理解しようと思えば、聖書の知識が重要になります。また、シリアやパレスチナで起きている現代世界の状況を理解するためには、キリスト教とイスラーム、ユダヤ教との関連などを歴史的に学ぶことが必要です。
日本では、キリスト教は少数派ですが、その社会的・文化的影響は決して小さなものではありません。そもそも、現在の大学の起源は修道院や大聖堂に遡ります。社会のあらゆる領域がキリスト教学の対象となりえます。みなさんの関心次第で、自由に研究テーマを設定することが可能です。
たとえばこんなテーマも可能です
〈聖書と考古学〉
考古学の発掘調査は、聖書の歴史的な記述の検証と理解を深めるために重要な役割を果たしています。発掘調査では、土器の破片の形や使用目的、鍋などの食器が出土する部屋の用途など、当時の人々の具体的な暮らしぶりを知ることができます。例えば、イエスの活動地とされるガリラヤ地方での発掘調査では、福音書に記された会堂の存在が考古学的に確認されています。2009年にガリラヤ湖西岸のミグダルで発見された1世紀前半の会堂跡や、2016年にテル・レヘシュで発見された初期ローマ時代の会堂跡は、イエスが実際に会堂で教えを説いていたという聖書の記述の歴史的信頼性を支持しています。このように考古学は、聖書の記述に対して実証的な証拠を提供し、古代の歴史と文化の解明に貢献しています。考古学の発見は、聖書をより具体的かつ深く理解するための重要な手がかりとなっているのです。

〈キリスト教と政治〉
現代社会を理解する上で、宗教、とくにキリスト教の存在は欠かせません。欧州ではポピュリスト政党が移民排斥のためなどにキリスト教を政治利用し、ロシアでは正教が政権と密接な関係を持ち、アフリカやアジアではキリスト教徒、とくに奇跡や超自然的な癒しを重視するカリスマ派の信徒が政治に影響を及ぼすようになっています。また、アメリカでは、2024年の大統領選挙でキリスト教ナショナリズムを掲げるトランプが勝利しました。このように各地でキリスト教的な価値観と政治の関係が重要な争点となっています。つまり、キリスト教を理解しなければ、世界の動向を見極めることが非常に難しくなっているのが今日の状況だといえるでしょう。
信仰やキリスト教経験の有無は問いません
キリスト教学科は、キリスト教という事象を学問研究の対象として学ぶことを目的としていますので、学生に「信仰」の有無は一切問いません。
充実した少人数教育を行います
キリスト教学科は、きめの細かい少人数教育を大切にします。教員は、学生一人ひとりの関心に添いながら、個別具体的な相談に応じます。
異文化理解・真の国際性を有した教養人を育てます
卒業後の進路は他の学科とほぼ変わりありませんが、キリスト教学科では、ことに、異文化理解や国際的・歴史的な感性を持つ教養人を社会に送り出すことを目標としています。

在学生からのメッセージ

キリスト教学科3年次 卜部 すみれさん 北海道 北星学園女子中学高等学校出身

キリスト教を通して自らを見つめ直す
牧師の両親のもと、日本ではマイノリティとされる環境で育ち、宗教というものに対しさまざまな思いを抱えていました。しかし、本学科でキリスト教を学問としてとらえ、音楽や美術など幅広い分野とのつながりをリベラルに学ぶことができたので、社会や宗教そのものに対する見方が変化したと感じています。この経験、学びをどのように社会に還元できるか考えていきます。

今のわたしを作る、この一冊。
キリスト教を嫌っていた著者が少しずつ変わっていく姿が、自分と重なり、思春期の私に大きな影響を与えました。

道ありき-青春編- 三浦 綾子 著
新潮文庫/1980年3月発行

卒業生からのメッセージ

立教女学院小学校 勤務  小野 聡之さん 2017年度文学部キリスト教学科卒業

聖書の魅力を伝えられるようになりたいという決意のもと、宗教科の教員を目指してキリスト教学科へ進学。中高一貫のカトリックスクールで宗教科と社会科の教員を経験後、現在は立教女学院小学校で聖書科の授業を担当しています。「小学生にも聖書の魅力を伝えられるようになりなさい」という神様からのメッセージと捉え、奮闘する毎日です。

今のわたしを作る、この一冊。
何から何まで、教えることが先生の仕事と思いがちでしたが、「Don't over teach(教え過ぎない)」という意識も大切であるということに気づかせてくれたのが、この一冊でした。それでも、つい教え過ぎてしまったなと感じたときには自戒の念も込めて読み返しています。

教えない教え 権藤 博 著
集英社新書/2010年11月発行

教員からひとこと

加藤 喜之教授 [研究テーマ:現代社会における政治と宗教の関係]

私はこれまで世界のさまざまな場所へ行き、暮らし、多様な人々と交流してきましたが、そうした場所で出会った人たちと比べても、本学部、そして本学科には、個性的で、学術的に優秀で、楽しい教員が多くいます。私が現在取り組んでいる研究テーマは欧米社会におけるキリスト教と極右政治の関係です。なかでも、米国の福音派と彼らの政治的な影響について調査・執筆を進めています。本学科では学生の皆さんが、他人の目を気にせず、興味を持ったことを掘り下げ、多角的に事象を分析し、さらにそれを魅力的な言葉で伝えられるようになることを期待しています。

今のわたしを作る、この一冊。
十七世紀後半に記された本書は、学問する自由を獲得するために神の言葉とされていた聖書のテクストを批判的に読むことを推奨したものです。革命的!

神学・政治論(上) バルーフ・スピノザ 著、吉田 量彦 訳
光文社古典新訳文庫/2014年5月発行

関連情報

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