文学部キリスト教学科

人間学としてのキリスト教学。キリスト教が影響を与え、与えられた、思想・文化・芸術を学びます。

特徴

キリスト教学科のコンセプト
キリスト教学科は、世界の歴史や文化に大きな影響を2000年にわたって与え続けてきた「キリスト教」をさまざまな角度から解明することを、その主題としています。
例えば、ヨーロッパで誕生した文学、音楽、美術などの多くは、その真の意味や価値を理解しようと思えば、基本的な聖書理解が不可欠です。また、シリアやパレスチナで起きている現代世界の状況を理解するためには、キリスト教とイスラーム、ユダヤ教との関連などを歴史的に学ぶことが必要です。
日本では、キリスト教は少数派ですが、その社会的・文化的影響は決して小さなものではありません。そもそも、現在の大学の起源は修道院や大聖堂に遡ります。社会のあらゆる領域がキリスト教学の対象となりえます。みなさんの関心次第で、自由に研究テーマを設定することが可能です。
たとえばこんなテーマも可能です
〈キリスト教と科学〉
みなさんは、科学と宗教は水と油の関係だと思っていませんか。実は、コペルニクスからニュートンに至るまで、いわゆる「科学」を生み出した人々のほとんどが神学を修めていました。神が書き著したテキストは二つあり、第一のテキストは「聖書」、第二のテキストは「自然・宇宙・人体」などであると考えられていました。
第一のテキストを読むために必要な言語は、ヘブライ語・ギリシャ語・ラテン語。「自然」や「宇宙」という「テキスト」を読み解くための言語は「数学」でした。これら二つのテキストの意味を明らかにすることを通して、神の創造の業を賛美することが「学問」の課題でした。当時の科学者たちの目的もここにあったのです。

〈キリスト教と映画〉
『パッション』という映画をみなさんはご覧になったことがありますか。公開時にはさまざまな議論を生んだ映画でもありましたが、「イエスの十字架」という出来事がいったいどのような事態であったのかを見事に表現した作品でした。この『パッション』や『十戒』といった、ダイレクトに聖書の物語と絡むもの以外にも、実は、キリスト教や聖書の基本的知識がなければ、本来の意味を知ることができない映画は無数にあります。欧米などのキリスト教圏で作られた映画の中に、いずれも多かれ少なかれキリスト教的要素を発見することができます。例えば『地獄の黙示録』の中には、登場人物が沼から顔を出す場面がありますが、これは「バプテスマ」すなわち「新たに生まれ変わること」を意味しているのです。
信仰やキリスト教経験の有無は問いません
キリスト教学科は、キリスト教というものを学問研究の対象として学ぶことを目的としていますので、学生に「信仰」の有無は一切問いません。
充実した少人数教育を行います
キリスト教学科は、きめの細かい少人数教育を大切にします。教員は、学生一人ひとりの関心に添いながら、個別具体的な相談に応じます。
異文化理解・真の国際性を有した教養人を育てます
卒業後の進路は他の学科とほぼ変わりありませんが、キリスト教学科では、ことに、異文化理解や国際的・歴史的な感性を持つ教養人を社会に送り出すことを目標としています。

在学生からのメッセージ

キリスト教学科3年次 高橋 大地さん 東京都 筑波大学附属桐が丘 特別支援学校出身

豊かさや幸福感の源は何か。キリスト教を通して追求したい
キリスト教に関する基礎的な内容の論文についてグループディスカッションをしたときのことです。以前からキリスト教に触れていた人と、私のように大学で初めて触れた人とでは、知識量は当然ですが、とらえ方や考え方も大きく異なっていて、その違いにおもしろさを感じました。キリスト教を通して社会を見つめ、豊かさや幸福の源を追求していきたいです。

今のわたしを作る、この一冊。
キリスト教学科をめざすなら、と高校の先生に紹介してもらった一冊。列車事故のなかで信仰心を貫く主人公を通して、宗教観について考えさせられます。
塩狩峠 三浦 綾子 著
新潮社/1968年9月発行

卒業生からのメッセージ

茨城大学 勤務  熊谷 允岐さん 2014年度 文学部キリスト教学科卒業

両親の影響で幼いころから美術館に行く機会が多くありました。そのような場で触れた西洋美術について、学問的観点から解釈したいという思いが芽生え、この学科を選びました。現在は、研究者をめざすため、大学で主に英語を教えながら、日本における英語学習参考書の歴史を研究しています。歴史的な学びから現在、そして未来の英語学習教材の発展に貢献したいです。

今のわたしを作る、この一冊。
キリスト教思想家の内村鑑三が、英語学修に対する考えを述べています。学習者としての著者の一面が見られる貴重な資料。現代に通じる学習法も紹介されています。
外国語之研究 内村 鑑三 著
南雲堂/1984年3月発行

教員からひとこと

ゾンターク,ミラ教授 [研究テーマ:近現代アジアのキリスト教]

キリスト教学科では、「宗教」というものにおいて「理想的な生き方を模索する人間」を読み解きます。そのためには、自国史を含めた世界史に関する知識、母国語と様々な言語のスキル、文化創出の原理に対する理解、そして思想と政治の関連性の知覚などが必要となります。これらを身につけるには文学部全体が頼りになります。私は、アジアの人々が、「アジア」から出発したキリスト教に、それを他の宗教と照らし合わせながら、見出した意味・意義を研究しています。タブーを知らない、考えることを楽しむ、そしてご自分の責任を感じる学生をお待ちしています。

今のわたしを作る、この一冊。
19世紀から進化論、考古学、言語学、文化人類学の発展に刺激されて誕生する宗教学の学説史を綴り、西洋域外の文化と宗教が与えたインパクトを示しています。

宗教史の発見——宗教学と近代
ハンス・G・キッペンベルク 著(月本 昭男、渡辺 学 訳)
岩波書店/2005年5月発行

関連情報

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。