文学部文学科ドイツ文学専修

文学、哲学、音楽から科学、アート・テクノロジーまで。ドイツ文化を脱領域的に横断します。

専修の特徴

多様な「ドイツ」と「ドイツ語圏」
「ドイツ」と聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?美しい緑の森と古城、ロマンチック街道やメルヘン街道でしょうか。あるいは、すばらしいクラシック音楽、それとも深遠な哲学や人文科学の伝統でしょうか。むしろ、ナチスという重荷を背負った過去でしょうか。『グリム童話』や、エンデなどのジュニア文学も有名ですね。ゲーテ、ドイツ・ロマン派、カフカなどの詩人や作家はどうでしょう。いや、2014年ブラジルワールド・カップを制した本場のサッカー、ベンツやBMWなどの高級車、それともビールやワインでしょうか。
第二次大戦の敗戦国から今日の経済大国にいたる歩みについて、なにかと日本と比較されるのもドイツですね。戦後40年間の冷戦下で東西に分断されてきたドイツは、統一後も、欧州連合(EU)の中核として頑張っています。また、環境問題に取り組む先進国でもあり、私たちがドイツに学ぶべき点も多いのではないでしょうか。
「ドイツ」といえば、広くはドイツ語圏を指し、スイスの多くの地域やオーストリアもドイツ語圏文化の重要な担い手です。たとえば、名門ハプスブルグ家のもとで栄えた華麗なウィーン文化も人気があります。また、現代のドイツ語文学を代表する作家を多く輩出しているのもオーストリアです。
歴史的に見ても、ドイツ文化が中部ヨーロッパ全体に広がっていることや、現在のドイツがヨーロッパのなかで果たしている重要な役割を考えると、ドイツ文化をヨーロッパ全体のなかに位置づけて理解していくことも大切です。
同時に、非西洋文化圏にある日本の視点からドイツ文化を考察することも、私たちにとっては重要です。日本におけるドイツ文化の受容や、ドイツにおける日本像の変遷など、日独の文化関係や文化比較には興味深いテーマがたくさんあります。日本は明治以来の近代化にあたって、ドイツ文化の影響を強く受けてきましたし、ドイツ語圏における日本への関心も一時代前とは比較にならないほど高まり、また刻々と変化しています。ですから、日本についてドイツ語圏の人々に説明できるようになることも大切です。
多彩なカリキュラム
ドイツ語、ドイツ文学はもとより、ドイツ文化を国際関係と異文化比較の視点から捉えようとするところにもドイツ文学専修の特色があります。文学では、詩、戯曲、小説、メルヘン、児童文学、思想、文芸学、評論など様々なジャンルの作品を体系的に学習できます。文化の領域では、ドイツ語の枠を超えた文化現象、国際関係や異文化における「ドイツ」を視野に収めています。美術、建築、映画、音楽、舞台芸術、マスカルチャー、テクノアートなどの表象文化、現代ドイツ論、中欧文化、日独比較文化などです。
ドイツ語学習については、輸入教材と自主教材を使い、ネイティヴ・スピーカーが担当する演習等、ドイツ語の実践的運用能力の習得を目指す一貫したプログラムを用意しています。さらに、論述的なドイツ語での文章作成、メディアのドイツ語を中心とした情報収集能力の訓練、ドイツ語の言語学的理解を深めるドイツ語研究など、演習や講義のテーマは多彩です。
これらの豊富で多様な領域から自分のテーマと研究対象を見つけ、それについて論述できるようになることを目指すのが専任教員が中心になって運営する「入門演習」と、テーマ別「演習」です。研究発表や討論に積極的に参加すれば、卒業論文を執筆するのに十分な実力がつくはずです。ここでは、「ドイツ」について論述する日本語の鍛錬にも力が入ります。また、研究室発行の雑誌『アスぺクト』は、在学生の寄稿から成り立っています。
充実した留学支援
ドイツ文学専修で提供される多彩で系統だったカリキュラムを活かすためにも、2年次までにドイツ語の基本を集中的に学習するようになっています。これは、「ドイツ語表現演習」とあわせて、ドイツの公的なドイツ語普及機関であるゲーテ・インスティトゥートのカリキュラムにも接続し、そのドイツ語検定資格の取得につながるよう配慮されています。さらにテュービンゲン大学、ベルリンのフンボルト大学、ボン大学、ヴッパータール大学、マールブルク大学、フランクフルト大学、ケルン大学、エアランゲン・ニュルンベルク大学、そしてインスブルック大学と学生交換協定によって、毎年ドイツ語圏ヘ留学生が派遣されています。また、文学部の海外フィールドスタディとして実施されるテュービンゲン大学夏期講習、ボーフムLSIタンデム方式による日独比較文化講座など休暇期間を利用した短期の研修留学についても、助言や情報提供など、積極的にサポートする態勢になっています。
「外国語を知らない者は、母語も知らない」とは、近代ドイツの大詩人ゲーテの言葉です。ドイツ語をしっかり学んで、ドイツ文化を知るとともに、それを通じて日本語と日本文化にも「Reflexion(反省・省察)」を加えられる知性豊かな国際人になってください。

在学生からのメッセージ

文学科ドイツ文学専修4年次(2019年度) 内藤 柚水さん 静岡県三島北高等学校出身

ドイツの環境に対する意識を日本で応用できるか研究したい
ドイツ市民の環境意識とそれが形成された背景を日本と比較し、日本でどのように応用できるかを研究したいと考え勉強しています。1年間留学したテュービンゲンでは、言葉の壁にぶつかりながらもドイツの環境に対する施策について勉強することができ、知見を広げることができました。文学だけでなく、社会問題についても学べるところが本専修の魅力です。

今のわたしを作る、この一冊。
終末を3年後に控えたとき、人はどうするのか。多様な価値観や生き方に出会う事ができ、自分を見つめ直すきっかけとなった一冊です。
終末のフール 伊坂 幸太郎 著
集英社/2006年3月発行

卒業生からのメッセージ

テュフ ラインランド ジャパン株式会社 勤務 市川 優実さん 2011年度 文学科ドイツ文学専修卒業

幅広くドイツ語圏について学べる点にひかれ、この専修で学ぶことを決めました。ドイツのテュービンゲン大学に1年間留学したことは、今もかけがえのない思い出です。現在はドイツに本社を置く第三者認証機関の日本法人総務部で働いており、日常的に英語とドイツ語を使っています。今後はキャリアアップを目指し、新たな仕事にも積極的に挑戦していきます。

今のわたしを作る、この一冊。
アドラー心理学についてわかりやすく解説されています。行き詰まった時に読むと気持ちがリセットされ、ポジティブに物事を考えられるようになります。
嫌われる勇気 岸見 一郎、古賀 史健 著
ダイヤモンド社/2013年12月発行

教員からひとこと

井出 万秀教授 [研究テーマ:ドイツ文学・語学(ドイツ語史)]

文学部としては規模が大きく、スタッフの質・量が充実しているところが魅力。自分の専門領域は特にドイツ語史。「なぜ」「どうして」に答えを出そうとすると必然的に歴史が絡んでくる。人間には記憶があり、その知的営みには歴史があるから、人文科学にとって歴史的視点は不可欠。昨今は大学が就職のための準備期間になりつつあるが、就職して仕事をすればすぐに学べることを外野から真似してみるよりも、この限られた、二度と戻ってこない時間に、今の自分にしかできないことに熱中してもらいたい、と学生諸君には期待する。

今のわたしを作る、この一冊。
「史実」などの歴史アイテムの意義付けが時代によってどう変遷したかを通して、歴史記述・意義というものは相対化されるものなのだという歴史の見方。
Deutsche Erinnerungsorte(ドイツ記憶の場) Hagen Schulze/Etienne François 編
Beck C. H./2001年発行

関連情報