文学部文学科文芸・思想専修

創作への挑戦、思想と哲学へのジャンプ。

専修の特徴

横断的な学びへのいざない
「文芸」と「思想」ということばは聞いたことがあるけれど、「文芸・思想」という名称は聞いたことがない。創作や批評の実践を志す「文芸」と、生きることの意味や存在の根源について思索する「思想」を「・」でつないで、連続するひとつの学問領域のように扱っている「文芸・思想専修」とは、いったい何を学ぶところなのか?そう疑問におもう人が多いのではないでしょうか。
まさにその疑問を内側から壊していくところに、この専修の特徴があるのです。「文芸」といい、「思想」といい、まったく別物のように考えられがちだけれど、はたして「文芸」といわれる実践には、哲学的な思索の営為は入ってこないのでしょうか。むしろ、存在することの意味や、作品を成立させている言語それ自体の働きこそが、「文芸」の根幹をなしているのではないでしょうか。
また、「思想」と呼ばれる領域は、ほんとうに「文芸」とは無関係でしょうか。神話や詩歌、小説を素材にしたり、媒介にして、哲学的思索を深めていない哲学者など、いないのではないでしょうか。とすれば、「文芸」的世界は、「思想」にとっての母胎なのではないでしょうか。
「文芸」と「思想」を横断しながら、思索の羽を自由にはばたかせ、古典から現代にいたるさまざまな思想を学び、同時に自分のことばで書き、ひとに伝えるすべを磨きあげる。それが、この専修で目指されている学びのかたちなのです。
徹底した少人数教育で切磋琢磨します
1年次の入門演習から3~4年次の専門演習まで、多彩な演習科目が用意されています。
1年次の入門演習では、これまで触れたことのないような哲学作品や戯曲、現代小説など、多様な作品を濫読して、演習メンバーで相互に批評しあいます。
2年次以降は、「演習」という少人数のゼミ形式の授業で、プレゼンテーション能力を高めたり、議論を通して他のさまざまな考え方に触れたりしながら、読解や思索を深めていきます。2年次演習は、厳選された基礎文献をじっくり分析するかたちでの本格的な「読む」訓練をおこないます。専門的な3~4年次演習では、幅広い関心領域をカバーする演習が展開されています。たとえば、詩や小説の創作実践をおこなう演習や、文芸誌に掲載されたばかりの一番ホットな文芸作品を批評する演習、わたしたちの日常生活に生かされる哲学的な思考方法を身につける演習、東洋の思想世界がたたえている深さを柔軟に取り入れる学びをすすめる演習などです。
充実した講義科目で考え方の幅を広げます
講義科目には、「文学講義」や「哲学講義」と題された、さまざまな講義が豊富に用意されています。各々の講義では、触れたことのない考え方や、思いがけない世界のヴィジョンを学ぶことによって、ものの見方や考え方や関心の幅を大きく広げることができます。
「文芸・思想専修」の最大の特徴である領域横断性が、ここにもはっきりと出ています。
サブカルチャーがもっているとてつもない深さを探査する講義や、わたしたちの感性を根底から変えてきた広告の社会的役割を考える講義、視覚メディアと文学作品を比較検討する講義、詩を支えている「論理」をあぶりだしていく講義、生活の細部に宿るジェンダーを通じて人間の多様性を探る講義、近代から現代にいたる哲学思想のアクチュアリティを考える講義などです。
多様で自由な考え方を学ぶ講義で横に幅を広げ、実践的で切磋琢磨する演習で縦方向に思索や実践を深めていく。その絶えざる往復が、文芸・思想専修での学びを支えているのです。

深く自分の存在に根ざした思考に基づく表現者へ
このように、文芸・思想専修では、幅広く多くの書物を読み、その内容について徹底的に考え、それを学内外での生活経験の中に位置づけて生きて実践します。こうした経験に基づき、人々に向けて多様な媒体を通して自分を表現できる人になることを目指します。横断的学びは、刺激とスリルに満ちています。それを経験することこそが、あなたを生き生きとした表現者にするのです。

在学生からのメッセージ

文学科文芸・思想専修3年次 山本 菜々美さん 神奈川県 横浜共立学園高等学校出身

多様な実践を通して技術を身につける
文学に加え、サブカルチャーや文芸批評についても学べること、詩人として活躍する先生のもとで創作ができることからこの専修を選びました。詩作をはじめ、手を動かして学ぶ機会が多く、文章を書くことに慣れてきたと感じています。現在は雑誌制作の演習に取り組み、記事のレイアウトや校正の技術を学んでいます。将来は出版業界などで、表現や文章に関わる仕事がしたいです。

今のわたしを作る、この一冊。
破壊と創造、内的世界と外的世界……。主人公の壮絶な自己葛藤を描くこの本は、揺れ動く思春期を共に過ごした親友であり、これからも私の羅針盤です。

デミアン ヘルマン・ヘッセ 著、高橋 健二 訳
新潮文庫/1951年12月発行

卒業生からのメッセージ

株式会社バンダイナムコ エンターテインメント 勤務 岡部 希晋さん 2021年度 文学科文芸・思想専修卒業

好きなことを突き詰める生き方を貫いていく
好きなことを研究対象にしたいと思い、マンガやアニメを扱うサブカルチャー批評を学べる文芸・思想専修に進学。就職先についても同じ考えでアニメやゲームを扱う仕事ができる会社を選び、今はゲームのアシスタントプロデューサーとして働いています。今後も一貫して、自分の好きなことを突き詰めていくような生き方をしたいです。

今のわたしを作る、この一冊。
幻想的で温かくて、どこか切ない短編集です。心地のよい「停滞」を感じられるので、日々に疲れてふと立ち止まりたくなった時に読み返しています。
神様 川上 弘美 著
中央公論新社/2001年10月発行

教員からひとこと

蜂飼 耳教授 [研究テーマ:詩、創作論、文芸批評]

文芸と思想のいずれも学ぶことができる本専修は、それらを相互に横断して思考する力を育むことを目指す点に特徴と魅力があります。文学、哲学の基本に始まりアニメ、マンガその他最新のサブカルまでも含めた幅広い視野に立つ学びが可能です。私は詩や文章の実作者ですが、創作論等を通して言葉と社会や歴史の間を考察することを重ねています。本専修には、各自の興味や関心を深め、思考や表現においてオリジナリティーのある能力を身につけることを大切にする学生が多いです。新入生には、探究する楽しさを発見し、生きる力をのびのびと養ってほしいと思います。

今のわたしを作る、この一冊。
十代半ばのころ、この中の一篇「春と修羅」をたまたま読んで仰天し、詩と関わる人生を思い描くことになりました。私にとって決定的な出会いとなった一冊です。

宮沢賢治詩集 谷川 徹三 編
岩波書店/1950年12月発行

関連情報

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