我々人間の中には、忽然と地球上に現れて際限なく生き続けるものは誰ひとりとしていません。一人ひとりの生命は広いつながりをもち、かつ、それには限りがあります。また、地球の表面から離れて宙に浮いた状態で生活したり、地球以外の惑星で生活したりするものも存在しません。あらゆる人間は、これまで地球上の自然に働きかけ、そこから得られる生活資糧で生きてきたし、これからもそうするほかないでしょう。
最新鋭のハイテクを駆使した快適な世界に生きるとしても、その例外ではないはずです。人はみな、寿命という時間的制約と地球的空間のなかで生活していかなければならないのです。時間的制約を縦糸とすれば、空間的制約は横糸といえます。
人々の活動は縦糸と横糸の織り成す模様のなかで繰り広げられているといえるでしょう。しかし、空間とは単なる地理的なものではありません。グローバリゼーションが進むなかで、それはむしろ文化的な領域といえるでしょう。その文化が地域・国家・民族を超えて共有と差異をもたらしています。