文学部教育学科

内面の成長と、英知の伝達。生涯にわたる豊かな人間形成のあり方を探求します。

学科の特徴

総合人間学としての教育学
あなたは教育学という言葉に何を連想しますか。教師になるために必要な知識体系でしょうか。それとも、教育活動を対象とした学問研究でしょうか。よく分からないという人もいるでしょう。教育学を勉強しても教師にならない人がいると聞けば、もっとわけが分からなくなるかもしれません。実は、教育学とは、日々成長し変化し続ける人間を、多角的に分析検討する総合人間学なのです。あなたがこれまで成長してきた過程を振り返ってみれば、そこには実に多くの要素があったことが思い出されるはずです。本学科が文学部の1学科として、キリスト教学、文学、史学などの人間研究の諸学科と並んであるのはそのためなのです。本学科は、文学部教育学科として、総合人間学としての教育学の性格を十分に生かせる強みをもっています。
人間科学者としての教育学者
その強みを具体的に述べれば、文学部基幹科目や他学科専門科目の履修が可能であることはもとより、学科の壁を越えて文学部教員が共同して授業を展開し、多様な学科の学生が一体となって学ぶことができるカリキュラムが用意されているといったことにありますが、ここには、教育学を総合人間学として捉えようとする私たちの姿勢が表れています。本学科教員は、教育哲学、教育心理学、教育社会学、教育史、教育方法学、教育思想、比較教育学、社会教育、音楽教育、国語教育などを専門としていますが、同時に、広い意味での人間科学者でもあるのです。
カリキュラムの特色 理論と実践との相互交流
このような幅広くしかも深い人間観察に基づく教育観が、教育研究の運動体としての学科のまとまりを支え、本学科の教育研究の性格を特徴づけています。そうした特徴は、1年次の「入門演習」、3年次の「演習」という正課の必修ゼミナールにはじまり、各ゼミ主催の夏合宿などの正課外活動への教員の参加といった、学生と教員との旺盛な相互交流にも表れています。人間とは何か、成長とは何か、学校とは何か、現代の教育問題はなぜ起こるのかといった多様なテーマをめぐって、教員と学生とが一緒になって、徹底的に討議し追究しています。その上で教育学科のカリキュラムは、教育哲学、教育心理学、教育社会学などの理論的分野の基礎の上に、教育方法の原理や歴史、学校教育および社会教育における教育方法、各教科の教育方法など、広い意味での「教育方法」に重点を置いています。このことは本学科が具体的人間に触れる教育実践を重視していることを意味しています。それゆえに学外活動の研究などを単位として認める「教育実践研究」という科目などをおき、学生と社会のつながりを大切にしています。
教育学専攻と初等教育専攻
3年次になると、各自の希望をもとに、教育学専攻課程と初等教育専攻課程に分かれ、共通部分を持ちながらもそれぞれの専門の学習を深めていきます。
教育学専攻課程では、総合人間学の観点から教育に関する思考を深めていくことになります。地方公共団体などの教育・福祉部門、教育産業やマスコミをはじめとする一般企業などで活躍できる人物の育成が目指されています。また、中学・高等学校教諭(社会・公民)1種免許状が取得できるほか、図書館司書、博物館学芸員、社会教育主事、司書教諭の資格をとる道も開かれています。
初等教育専攻課程では、教育について広い視野に立つしなやかな感性と深い人間理解に基づく鋭い見識を兼ね備えた小学校教師の養成が主たる目標になっています。そのために、教育学専攻課程と共通の科目に加えて、各教科教育法、教育実習などの教職専門科目が盛り込まれており、課程修了者は小学校教諭1種免許状が取得できます。また教育学専攻課程と同様、図書館司書、博物館学芸員、社会教育主事、司書教諭の資格取得の道もあります。
教育学科の卒業生は、地方公共団体、社会教育施設、一般企業、マスコミなどで活躍するほか、多くが小学校や中学・高校の教壇に立ち、教育の現場で重責を担っています。

卒業生からのメッセージ

文京区立本郷小学校 教諭 渡邉 志帆さん 2020年度 文学部教育学科初等教育専攻卒業

広い視野を持った教師になりたいと思い、興味のあることも、専門的なことも学べる立教大学に進学しました。現在は初任校で担任を務め、学級の子どもたちと共に成長できるよう励む日々です。子どもたちが主体的に学習に取り組める授業づくりをめざし、学校内の国語科の研究や、自分自身での教材研究に取り組んでいます。

今のわたしを作る、この一冊。
ひょんなことからスピーチライターになった主人公が、仕事を通じて言葉の持つ力に気づいていきます。日々、多くの言葉の中で過ごす教師だからこそ、大切にしたい一冊です。
本日は、お日柄もよく 原田 マハ 著
徳間文庫/2010年8月発行

教員からひとこと

渡辺 哲男教授 [研究テーマ:国語科教育、教育思想史]

「教育学」は多様な学問領域をつなぐ「ハブ」の役割を担いうると考えていますが、本学科も、人間の不思議さや面白さが学べるという意味で、文学部の全ての学科専修の研究をつないでいると言えます。専任教員も他領域との交流を活発に行い、ユニークな研究を行っています。私自身は、コロナ禍における教育の諸問題を「ポップカルチャー」という概念から浮き彫りにしようと考えているところです。新入生のみなさんも、文学部、そして本学科の教員をうまく「利用」して、自己を見つめつつ、既成の枠組みに囚われない独創的な研究をしていただきたいと思います。

今のわたしを作る、この一冊。
学生時代、心理学の先生から、この絵本に授業で扱ったことが描かれていると言われ、大人になってから絵本を読むことの面白さを知りました。
100万回生きたねこ 佐野洋子作・絵
講談社/1977年10月発行

関連情報

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