文学部文学科日本文学専修

日本の文学と言葉を通じて、自己を見つめ直す手がかりをつかみます。

専修の特徴

日本文学の全領域と日本語学を対象とした科目を開設しています
日本文学専修を志望されるみなさんは、これまでの読書や、国語という教科を通して、日本の文学や言葉に対して興味・関心を抱き、それをさらに深く追求しようという希望を持っていることと思います。本専修では、そうした希望に応えるために、古代から近現代に至る日本文学の全領域と日本語学を対象とした、多くの講義・演習を開設しています。
入門から専門まで多彩な科目が履修できます
1年次は入門演習・研究法を学ぶほかに、概説・文学史など基礎的な知識や調査・研究法を学び、2年次からはそれらに加えて専門的な講義・演習を履修し、特に3・4年次には卒業論文の執筆へと導く論文演習も設定されています。日本の文学や言葉の世界はたいへんな広さと奥行きをもっています。教員はそのなかから可能な限り多様な素材・テーマを取り上げて、みなさんの興味・関心を触発し、日本文学・日本語に対する理解が深められるように配慮しています。また、基幹科目・専修科目以外の科目も積極的に履修することで、視野が大きく広がり、新たな興味の対象も見出せることでしょう。
他との関係、歴史的・文化的な文脈の中で捉えます
広く読むこととともに大切なのは、特定の対象に精通することです。みなさんはすでに好きな作家や、興味を抱く作品をもっていることでしょう。そうした特定の対象について、早い時期から繰り返し読み、かつそれに関する研究や評論をできるだけ多く読んでみてほしいのです。そうすれば、ひとりの作家、ひとつの作品について、実に多種多様な捉え方や読み方が存在することがわかるでしょう。また、作家・作品は単独で存在しているのではなく、他の作家や作品との関係において存在することや、歴史的・社会的・文化的な文脈のなかに存在することが見えてくるに違いありません。さらに、そうした関係や文脈のなかで新たに興味を覚える作家や作品に出会うことも多いでしょう。
自分と異質なものを認め、それについて考えます
みなさんが、ある作家や作品に対して抱く「興味」は、その対象に対する親近感や共感に支えられていることが多いのではないでしょうか。自分とよく似た感じ方・考え方を対象に見出すことは、たしかに文学が与えてくれる大きな喜びのひとつです。けれども、他者のなかに自分と同様の要素を求めるだけでは、結局自己愛や独善に終始する可能性が高いでしょう。みなさんには、自分と同質なものを発見する喜びとともに、自分と異質なものを認め、それについて考えることの大切さを知ってほしいと思います。
自分の世界を大きく広げる機会を提供します
日本文学専修の講義・演習は、文学作品をみなで読み、同じ感動を共有することが目的ではありません。ある一つの結論(正解)に向かって突き進む作業でもありません。それは、学生一人ひとりが互いに異なる文学観・言語観を有する他者として参加し、構成する場です。ここでは教員もまたその一員です。作家や作品のなかに自分と異なる世界を発見すること、その対象に対するさまざまな理解のしかたに触れること、また、そういう経験を数多く積むことで、みなさんが自己を再発見し、さらに自分の世界を大きく広げる機会を提供したいと考えています。

在学生からのメッセージ

文学科日本文学専修4年次 宮地 那由多さん 福井県 藤島高等学校出身

日本語の面白さや日本の魅力を世界に伝えたい
大学では、和歌や俳諧を中心に学んでいます。作品の多様な解釈に対峙する中で、資料を分析し、考えを発信する力、作品を多角的に捉える広い視野を身につけました。また、ひとつの作品の一面にとらわれない、他の作品や社会とのつながりを学べるところも魅力です。将来は日本語の面白さを学んだ経験を社会貢献につなげ、日本の魅力を発信していきたいです。

今のわたしを作る、この一冊。
全編を通して表現が美しく、日本語の美しさに興味を持つきっかけになりました。読み終えたときの夢から覚めたような感覚に魅了されています。
夢十夜 夏目 漱石 著
岩波書店/1986年3月発行

卒業生からのメッセージ

立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター 勤務 杉本 佳奈さん 2008年度 文学部日本文学科卒業

学芸員の経験を活かし貴重な資料の保存や研究に携わる
公立文学館で学芸員として資料整理や展覧会・イベント企画などの経験を積み、現在は学内の大衆文化研究センターにおいて、江戸川乱歩関係の貴重な資料の整理・保存・研究、2024年秋の再オープンに向けた準備を行なっています。乱歩が暮らした場所から、文学資料の価値や魅力、研究の面白さを多くの人に感じてもらえるよう発信しています。

今のわたしを作る、この一冊。
「日本人とキリスト教」をテーマとして追究し続けた遠藤の到達点といえる、最後の純文学長編小説。発表から30年経っても色褪せず、普遍的な問題を投げかけている作品です。
深い河 遠藤 周作 著
講談社/1993年6月発行

教員からひとこと

平井 吾門准教授 [研究テーマ:日本語学(とくに国語辞書の歴史)]

日本文学専修では、自由度の高いカリキュラムのもと多彩な授業を展開しており、取り組み方次第で分野横断的に広く深く学ぶことが可能です。都内有数の蔵書数を誇る図書館をはじめ研究環境も充実し、シンポジウムや雑誌等を通じて国内外に研究成果を発信しています。その中で私は、江戸時代の国語辞書を中心として、現代の国語辞書が成立した過程や新たな国語辞書の可能性について思索する毎日です。一見身近な日本語・日本文学の世界を通じた真理追究や人格陶冶の妙味、そして自らテーマを設定して学びを深めていく醍醐味を求めている方の入学を歓迎いたします。

今のわたしを作る、この一冊。
未来を切り拓くからこそ学問の歴史を学ぶべきだということを教えられました。国語辞書の研究でも、歴史と未来を常に意識する視点を大切にしています。
国語学史 時枝 誠記 著
岩波書店/1940年12月発行

関連情報

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