史学科 在学生からのメッセージ

野田 始榮さん、手代木 俊介さん、石川 うららさん

2025/06/24

史学科

OVERVIEW

史学科の3名の在学生にインタビューしました。
(学年は初掲載時のもの)

歴史を研究することで未来を予測する力が身についた。

史学科日本史学専修3年次 野田 始榮さん
千葉県 千葉敬愛高等学校出身


日本史に興味を持つきっかけとなったのは、高校3年生のときの授業です。暗記に終始するのではなく、歴史が現代にどのようにつながるのかという問いを投げかけられたことで、より深く学びたいと考えるようになりました。現在は、日本の近現代史における日本と海外の歴史認識の違いや戦争責任について研究中。日本による東南アジアの占領を取り上げ、一次資料や先行研究を読みこんでディスカッションを行っています。学ぶ中で感じるのは、歴史とは選択の連続であるということ。これまでにどのような選択がなされてきたのかを知ることで、未来を予測する力が身につきました。また、大学では、留学生をはじめ、これまで関わることのなかったような人々との出会いがありました。世界は自分の「当たり前」の範囲にとどまらないのだと知ったことで、物事を多面的に考える力が養われ、研究にも活きています。大学で得たさまざまな学びを、日々の生活に、これからの人生に反映していきたいです。
今のわたしを作る、この一冊。
読書をしない私に母が「処方」した本です。これがなければ、「よく読み、よく考え、よく書く」という営みの大切さに気づかずに過ごしたと思います。

海辺のカフカ(上)
村上 春樹 著
新潮社/2002年9月発行

文化人類学や社会学の視点からインド史を研究。幅広い学びで当たり前を疑う視点を得る。

史学科世界史学専修3年次 手代木 俊介さん
福島県 翔洋学園高等学校出身


東洋史と西洋史という既存の枠組みにとらわれず、文化人類学や社会学を取り入れた研究やアプローチが可能な点に惹かれ、史学科を志すようになりました。幅広い分野の知識を学ぶことで、物事を多角的に考える力や「当たり前」への批判的な視点が養われました。現在の研究テーマは16世紀から17世紀にかけての北西インドの政治史・社会史で、ムガル帝国の権力者の言説やテキストが社会や政治に与えた影響について考察しています。当時のイスラム教圏では、権力者の物語を教訓の文学として受容し、人々はその教訓を現実に活かそうとしていたと考えられます。テキストがどのように現実へ影響していくのか研究する予定です。大学卒業後は大学院への進学を希望しています。東洋史、特にインド史への理解を深め、さらなる研究を行いたいです。
今のわたしを作る、この一冊。
初年次の後期に読んだ本著が現在にまで続く興味関心や手に取る本の傾向に寄与した役割は無視できないものであり、道標のように思われるからです。

山口昌男著作集4──アフリカ
山口 昌男 著、今福 龍太 編
筑摩書房/2003年2月発行

文化人類学という学問に触れ座学だけでは得られない学びを体験。

史学科超域文化学専修2年次 石川 うららさん
東京都 國學院高等学校出身


鯨塚をはじめとした日本の動物供養に興味を持ち、超域文化専修なら歴史や文化の観点から多角的に研究できると考えて進学。文化人類学に対して抱いていた「冒険しながら楽しく学べる」というイメージは、植民地主義にはじまる歴史や研究・調査事例などを学ぶ中で覆りました。特定の文化や人々を対象化し研究することにはある種の暴力性を伴うこと、研究者自身が「自分は何者か」という視点を持って自己を対象化することの重要性を知ったことで、研究意欲が高まりました。ゼミで若者文化を調査するフィールドワークに取り組んだ際には生々しい現実を目の当たりにし、さまざまな葛藤を経験。自身のアイデンティティが問われる場面もあり、自己を対象化する第一歩になったと感じています。文化人類学という学問と向き合いながら、今後の研究テーマを決定したいです。
今のわたしを作る、この一冊。
闇の高利貸しの話。美しい日本語による淡々とした描写が続き、畳の匂いや湿度を含んだ空気を生々しく感じさせる、これ以上ない文学作品。

鹽壺の匙
車谷 長吉 著
新潮文庫/1995年10月発行

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