卒論を書こう!先輩の体験談 2024
卒論を書こう!先輩の体験談
2024/11/15
卒論を書こう!先輩の体験談
OVERVIEW
文学部では、卒業論文は必修科目ではありませんが、できるだけ多くのみなさんにその執筆を勧めています。
理由はいくつかありますが、何よりもその経験があなたの人生の大きな財産となるからです。
文学部で人間存在の意味を深く考える作業に取り組んだのですから、是非、皆さんの若き日の到達点を形にして残し、将来の人生を評価する自分の基準を作って欲しいのです。
その思いから今回、優れた卒業論文を執筆した先輩たちの声を集めてみました。どんなテーマに取り組んだのか、また書き終えてどうだったのかなど、参考にしてみてください。
No.01 指導教員、仲間と一緒に卒論に取り組む時間を楽しめた
The Paradox of Beckett’s Drama:
The Transformation of His Dramaturgy from Waiting for Godot to Footfalls
文学科英米文学専修 新井 美桜さん
この英語タイトルのテーマを選んだのは講義で演劇に興味を持ったからです。これほど長い文章を書いた経験がなく、いかに一貫した主張をするかという点に苦労したものの、文章を書くこと、それに費やす時間を楽しみつつ、本学での学びの集大成を形にして残せてよかったと思っています。
岩田 美喜教授の丁寧なご指導で完成させることができました。初稿の手書きの添削は私の宝物です。イエイツ マイケル教授にもたくさん添削していただきました。ありがとうございました。将来、大学院などでもう一度学ぶ夢を叶えるために、少しずつでも英米の演劇作品の勉強を続けたいと思っています。
他大学と比較して指導教員一人に対する学生の人数が少なく、教員と密にコミュニケーションが取れることに魅力があります。他の指導教員の下で卒業論文を執筆している学生とランチ会を催すなどして交流する機会があると、より楽しく取り組めるのではないでしょうか。
The Transformation of His Dramaturgy from Waiting for Godot to Footfalls
文学科英米文学専修 新井 美桜さん
この英語タイトルのテーマを選んだのは講義で演劇に興味を持ったからです。これほど長い文章を書いた経験がなく、いかに一貫した主張をするかという点に苦労したものの、文章を書くこと、それに費やす時間を楽しみつつ、本学での学びの集大成を形にして残せてよかったと思っています。
岩田 美喜教授の丁寧なご指導で完成させることができました。初稿の手書きの添削は私の宝物です。イエイツ マイケル教授にもたくさん添削していただきました。ありがとうございました。将来、大学院などでもう一度学ぶ夢を叶えるために、少しずつでも英米の演劇作品の勉強を続けたいと思っています。
他大学と比較して指導教員一人に対する学生の人数が少なく、教員と密にコミュニケーションが取れることに魅力があります。他の指導教員の下で卒業論文を執筆している学生とランチ会を催すなどして交流する機会があると、より楽しく取り組めるのではないでしょうか。
No.02 知り得なかった文化や価値観などを知識として吸収できた
ハワイ先住民運動における大地と自治統治の可能性
—オアフ島ワイマナロ地区の自治組織 Nation of Hawai'i を事例に—
史学科超域文化学専修 R.O.さん
所属ゼミが決まった時から漠然と「ハワイ」をテーマにすることを決めていた私は、研究を進めるうちに小さなコミュニティから大きな目標に向かって運動を起こす先住民族に興味を抱きました。一つの物事について自分で調べ、知識を身に付けることは社会生活でも活きることであり、様々な事柄に興味を持って取り組むことは、今後の人生にたくさんの経験をもたらしてくれると思っています。私は初めて知ることの多さに探究心が掻き立てられ、結果としてそれまで知り得なかった文化や価値観、人々の営みを知識として吸収することができました。
研究の対象が海外にあり、ちょうどコロナ禍やハワイでの大規模な森林火災の影響を受けてインタビューを交えたフィールドワークができなかったことがとても悔やまれ、それを欠いたままの論文を構成することに苦心しました。
卒業論文を執筆するにあたって、多くはテーマを決めることにから頭を悩ませると聞きます。私は「好き」という単純な理由で一貫して「ハワイ」に決めていました。これから卒業論文に取り掛かる皆さんは学問だからといって堅苦しく考えず、興味を持ったことや関心のあることを様々な角度から調べることから始めてみてください。
—オアフ島ワイマナロ地区の自治組織 Nation of Hawai'i を事例に—
史学科超域文化学専修 R.O.さん
所属ゼミが決まった時から漠然と「ハワイ」をテーマにすることを決めていた私は、研究を進めるうちに小さなコミュニティから大きな目標に向かって運動を起こす先住民族に興味を抱きました。一つの物事について自分で調べ、知識を身に付けることは社会生活でも活きることであり、様々な事柄に興味を持って取り組むことは、今後の人生にたくさんの経験をもたらしてくれると思っています。私は初めて知ることの多さに探究心が掻き立てられ、結果としてそれまで知り得なかった文化や価値観、人々の営みを知識として吸収することができました。
研究の対象が海外にあり、ちょうどコロナ禍やハワイでの大規模な森林火災の影響を受けてインタビューを交えたフィールドワークができなかったことがとても悔やまれ、それを欠いたままの論文を構成することに苦心しました。
卒業論文を執筆するにあたって、多くはテーマを決めることにから頭を悩ませると聞きます。私は「好き」という単純な理由で一貫して「ハワイ」に決めていました。これから卒業論文に取り掛かる皆さんは学問だからといって堅苦しく考えず、興味を持ったことや関心のあることを様々な角度から調べることから始めてみてください。
No.03 学びの集大成を可視化することで大きな達成感を得られた
ドイツ系マイノリティ「追放」とその想起——集合的記憶論の視点から「被害」の過去を考える——
文学科ドイツ文学専修 杤原 里佳子さん
移民問題・難民問題に関心があって、関係する図書を読んでいた際に「追放」について知る機会があって直感的に思い立ったテーマです。それを記憶、想起の観点から研究したのは、ドイツに留学中に「追放」が現地の人たちにとって身近である一方で、学校教育やニュースでは取り上げられることの少ないことに非対称性があり、自国の歴史上でどのように記憶されているのかが気になったからです。
授業やゼミ、学生団体での活動、留学、日常のニュースなど様々な場面において多様なテーマを学んだことは、今になって思い返すと最も関心のあるテーマを見つけ出すための材料になり、ドイツ語の習得に力を注いだことで入ってくる情報の量が格段に増えたことに気が付きました。論文の執筆によって学生生活の学びに区切りをつけ、その集大成を可視化することができました。これは私に大きな達成感を与えてくれた経験であったと確信しています。
卒業論文の執筆は任意であることから、すべて自分自身に責任があります。従って長期的な計画を立て、時にはまとまった時間を取って集中的に研究に取り組まなくてはなりません。私は当初立てた計画が曖昧で、加えて論文が後回しになった時期があり、結果的に満足のいく研究ができなかった領域があったことが悔やまれます。これから卒業論文に取り組む皆さんには気力と体力を保ち続け、最後まで楽しく意欲的に研究ができるようなテーマ選びをおすすめします。そのためには普段の授業で広範な話題に触れ、関心の幅を広げることです。テーマを見つけているなら多角的な視点から学ぶ習慣を身に付けると論文に深みが生まれます。モチベーションアップのために、執筆の期間中に他のゼミ生と交流し、情報を交換する機会があるといいですね。
文学科ドイツ文学専修 杤原 里佳子さん
移民問題・難民問題に関心があって、関係する図書を読んでいた際に「追放」について知る機会があって直感的に思い立ったテーマです。それを記憶、想起の観点から研究したのは、ドイツに留学中に「追放」が現地の人たちにとって身近である一方で、学校教育やニュースでは取り上げられることの少ないことに非対称性があり、自国の歴史上でどのように記憶されているのかが気になったからです。
授業やゼミ、学生団体での活動、留学、日常のニュースなど様々な場面において多様なテーマを学んだことは、今になって思い返すと最も関心のあるテーマを見つけ出すための材料になり、ドイツ語の習得に力を注いだことで入ってくる情報の量が格段に増えたことに気が付きました。論文の執筆によって学生生活の学びに区切りをつけ、その集大成を可視化することができました。これは私に大きな達成感を与えてくれた経験であったと確信しています。
卒業論文の執筆は任意であることから、すべて自分自身に責任があります。従って長期的な計画を立て、時にはまとまった時間を取って集中的に研究に取り組まなくてはなりません。私は当初立てた計画が曖昧で、加えて論文が後回しになった時期があり、結果的に満足のいく研究ができなかった領域があったことが悔やまれます。これから卒業論文に取り組む皆さんには気力と体力を保ち続け、最後まで楽しく意欲的に研究ができるようなテーマ選びをおすすめします。そのためには普段の授業で広範な話題に触れ、関心の幅を広げることです。テーマを見つけているなら多角的な視点から学ぶ習慣を身に付けると論文に深みが生まれます。モチベーションアップのために、執筆の期間中に他のゼミ生と交流し、情報を交換する機会があるといいですね。
No.04 「理論と実践」という二つの軸を確立できた
安政の改革における軍制改革–幕府海軍における塩飽水主の登用過程から–
史学科日本史学専修 谷 望さん
体育会ヨット部員として活動していたこともあって、日本近世近代移行期ゼミに所属した当初から幕末の和船から蒸気船への近代化の過程を知りたくて、洋式軍艦が導入される際、どのようにして水主(水夫)が登用され、技術を習得するに至ったのかを解明してみました。
史料や論文を渉猟して新たな歴史像を模索し、ある一つの物事の解釈を論理立てる一方、実際に現場を訪れ、人に話を聞くなどして実体験から立体的に捉えることの大切さに気付きました。このことにより「理論と実践」という二つの軸が私の中に確立されたと思います。
歴史学はテーマに合致する史料の収集がカギで、手間と時間を大きく費やします。仮にそれが見つかっても解読と精査にもまた時間を使い、体育会活動や就職活動との両立には困難を伴いました。そんなことから卒業論文の執筆を避けようかと考えたこともあったものの、やはり「知りたい、面白い」と思ったことに突き進み、必ず人生の糧になると結果的に思えたので、皆さんも勇気を出して一歩を踏み出してみてください。面倒であればあるほどそのテーマは誰もが手を付けなかった証。必ず新たな発見や気づきがあり、その時に味わう心地のよい充足感は何物にも代えがたいものになるはずです。
史学科日本史学専修 谷 望さん
体育会ヨット部員として活動していたこともあって、日本近世近代移行期ゼミに所属した当初から幕末の和船から蒸気船への近代化の過程を知りたくて、洋式軍艦が導入される際、どのようにして水主(水夫)が登用され、技術を習得するに至ったのかを解明してみました。
史料や論文を渉猟して新たな歴史像を模索し、ある一つの物事の解釈を論理立てる一方、実際に現場を訪れ、人に話を聞くなどして実体験から立体的に捉えることの大切さに気付きました。このことにより「理論と実践」という二つの軸が私の中に確立されたと思います。
歴史学はテーマに合致する史料の収集がカギで、手間と時間を大きく費やします。仮にそれが見つかっても解読と精査にもまた時間を使い、体育会活動や就職活動との両立には困難を伴いました。そんなことから卒業論文の執筆を避けようかと考えたこともあったものの、やはり「知りたい、面白い」と思ったことに突き進み、必ず人生の糧になると結果的に思えたので、皆さんも勇気を出して一歩を踏み出してみてください。面倒であればあるほどそのテーマは誰もが手を付けなかった証。必ず新たな発見や気づきがあり、その時に味わう心地のよい充足感は何物にも代えがたいものになるはずです。
No.05 論文の作法を指導教官から学べた
類義語の計量的研究—語種間の使い分けから見る課題と展望—
文学科日本文学専修 大下 由乃さん
かねてより日本語学に興味がありました。コンピュータを活用して文章の性質を解き明かしていく研究手法「テキストマイニング」の存在を知ったことをきっかけに、日本語学分野では少しずつ研究が進んでいるものの、まだ解決策が見つかっていない課題や、手がつけられていない研究手法について研究してみたいと思いました。漠然とながらもコンピュータにも興味があったこともあって、コンピュータそのものやそれを駆使して研究についての知識も身に付けたいと考えたこともテーマに選んだ理由です。
私は入学当初から一貫して日本語学を重点的に勉強し、研究小論文にも継続して取り組んできました。先生にご指導をいただきながら、その時々に興味を持った事柄や新しい取り組みについての理解を深めてきました。私の卒業論文はテーマ、研究手法の両面で4年前の比較的早い時期からのどこかで興味を持ち、続けて調査してきたことをまとめ、さらにそれを深めたものです。執筆中に先行研究・調査・考察の全ての過程を見返した際に、私が4年間をかけて取り組んだことが集大成となって形を成していると思えたことに感慨深くなりました。また、論文の書き方の基礎を改めて学べたことも意義のあることです。コンパクトにまとめられた雑誌論文の構成や、卒業論文の約束事である論の展開、文章の書き方を指導教員から学んだことは卒業後、大学院に進学する私にとって役立つものと思います。
理路整然とした長文を書くことは初めての経験で首尾一貫した文章にすること、読み手にとって納得できる展開にすることには苦心しました。日常の授業だけでなく、課外活動の代表としての役目を果たし、大学院進学の準備もあってすべての時間を卒業論文に充てることができず、自己嫌悪に陥ったこともありました。いかにして自分を納得させ、工夫して取り組むかが大きな課題でした。
日本文学専修に所属して卒業論文を執筆することは、周囲から「困難な道を歩もうとしている」と見られがちです。事実、困難の連続ですが文学部でこれほどの論文に取り組む機会はあまりなく、苦労はするものの学生時代に自分が学んだことのすべてを形にするという経験は困難を超えるほどに大きく、たくさんの学びを手にすることができるはずです。自ら設定したテーマに沿って進むプロセスは孤独感に苛まれることもありますが、教員からの指導やゼミ仲間の学生からのちょっとした助言やアイデアが新たな視点をもたらしてくれることもあります。全方位にアンテナを張って、真摯に取り組むことで道は開けると私は思います。
文学科日本文学専修 大下 由乃さん
かねてより日本語学に興味がありました。コンピュータを活用して文章の性質を解き明かしていく研究手法「テキストマイニング」の存在を知ったことをきっかけに、日本語学分野では少しずつ研究が進んでいるものの、まだ解決策が見つかっていない課題や、手がつけられていない研究手法について研究してみたいと思いました。漠然とながらもコンピュータにも興味があったこともあって、コンピュータそのものやそれを駆使して研究についての知識も身に付けたいと考えたこともテーマに選んだ理由です。
私は入学当初から一貫して日本語学を重点的に勉強し、研究小論文にも継続して取り組んできました。先生にご指導をいただきながら、その時々に興味を持った事柄や新しい取り組みについての理解を深めてきました。私の卒業論文はテーマ、研究手法の両面で4年前の比較的早い時期からのどこかで興味を持ち、続けて調査してきたことをまとめ、さらにそれを深めたものです。執筆中に先行研究・調査・考察の全ての過程を見返した際に、私が4年間をかけて取り組んだことが集大成となって形を成していると思えたことに感慨深くなりました。また、論文の書き方の基礎を改めて学べたことも意義のあることです。コンパクトにまとめられた雑誌論文の構成や、卒業論文の約束事である論の展開、文章の書き方を指導教員から学んだことは卒業後、大学院に進学する私にとって役立つものと思います。
理路整然とした長文を書くことは初めての経験で首尾一貫した文章にすること、読み手にとって納得できる展開にすることには苦心しました。日常の授業だけでなく、課外活動の代表としての役目を果たし、大学院進学の準備もあってすべての時間を卒業論文に充てることができず、自己嫌悪に陥ったこともありました。いかにして自分を納得させ、工夫して取り組むかが大きな課題でした。
日本文学専修に所属して卒業論文を執筆することは、周囲から「困難な道を歩もうとしている」と見られがちです。事実、困難の連続ですが文学部でこれほどの論文に取り組む機会はあまりなく、苦労はするものの学生時代に自分が学んだことのすべてを形にするという経験は困難を超えるほどに大きく、たくさんの学びを手にすることができるはずです。自ら設定したテーマに沿って進むプロセスは孤独感に苛まれることもありますが、教員からの指導やゼミ仲間の学生からのちょっとした助言やアイデアが新たな視点をもたらしてくれることもあります。全方位にアンテナを張って、真摯に取り組むことで道は開けると私は思います。
No.06 新たな問いに出会い、研究テーマへの関心が深まった
民国期上海の高等教育
史学科世界史学専修 K.T.さん
かねてより都市行政と高等教育の歴史の関係性に関心がありました。本学での学びで得た視点から都市行政を論じた先行研究がまだ見当たらないことから、チャレンジしてみたいと思い立った研究テーマです。
卒業論文に収め切れないほどのいくつもの新しい問いに出会ったことで、執筆を始めた当初よりも研究テーマへの関心が深まりました。そして、目を通すことができなかった多くの研究文献や史料を読むことが、今後の趣味の一つになりそうで楽しみにしています。
早期に研究の対象を絞ったことで、先行研究を読み深めるなど学習の絶対量を少なくしてしまったことが悔やまれます。そのことで先行研究同士の関係を理解し、整理することや論文を引用して問題意識を顕在化させることが不十分だったからです。また、卒業論文で重要な史料を十分に紹介できなかったのは、中国語史料の読解が進められなかったことに苦心したからです。このことからこれから卒業論文を執筆する人には外国語を勉強し、先行研究に触れるたくさんの時間を確保することをおすすめしたいです。
史学科世界史学専修 K.T.さん
かねてより都市行政と高等教育の歴史の関係性に関心がありました。本学での学びで得た視点から都市行政を論じた先行研究がまだ見当たらないことから、チャレンジしてみたいと思い立った研究テーマです。
卒業論文に収め切れないほどのいくつもの新しい問いに出会ったことで、執筆を始めた当初よりも研究テーマへの関心が深まりました。そして、目を通すことができなかった多くの研究文献や史料を読むことが、今後の趣味の一つになりそうで楽しみにしています。
早期に研究の対象を絞ったことで、先行研究を読み深めるなど学習の絶対量を少なくしてしまったことが悔やまれます。そのことで先行研究同士の関係を理解し、整理することや論文を引用して問題意識を顕在化させることが不十分だったからです。また、卒業論文で重要な史料を十分に紹介できなかったのは、中国語史料の読解が進められなかったことに苦心したからです。このことからこれから卒業論文を執筆する人には外国語を勉強し、先行研究に触れるたくさんの時間を確保することをおすすめしたいです。
No.07 論文を執筆する際の基本的なルールをしっかり学べた
『狐物語』第12枝篇「ティベールの晩課」の翻訳
文学科フランス文学専修 小崎 ひよりさん
古フランス語で綴られた物語の初めての翻訳は、中世に読み書きされた言語に触れたことが嬉しく、楽しむことができました。写本の画像を見て、古フランス語訳、現代フランス語訳、英語訳などを見比べて解読し、読みやすい日本語に訳す経験をしたことによりフランス語の知識と理解が深まりました。そして脚注、参考文献の記し方といった論文を執筆する際の基本的なルールもしっかりと学べました。
しかしながらその工程は一筋縄ではありません。古フランス語は当時、その綴りが確定しておらず、中世フランス語辞典に載っていない単語がたくさんあって、想像や文脈から意味を類推しなくてはならなかったことから、暗号の解読のようで単語一つで翻訳が滞ることもありました。また狩猟や当時の官位といった当時の文化や社会など知らない事象が訳しづらく難航する場面がありました。
「学術的ではないな」と思えても、興味のある事柄を掘り下げてテーマを決めてみてください。熱中して、途中で決して嫌にならないと思えるからです。そしてバランスのよい食事を取り、十分な睡眠と休息、適度な運動を心掛けることが長期間に渡る執筆生活を乗り切る秘訣です。満足できる論文でなくても、焦って提出できなくならないように提出期限の2週間前には全体を読み返し、印刷を待つくらいの時間の余裕を持って臨みましょう。フランス文学専修の先生方は皆さん、学生一人一人を丁寧に指導してくださるので心配はありません。分からないことやアドバイスを仰ぎたくなったら早めにメールで進捗を伝え、相談することをおすすめします。きっと応えてくださいます。中世をテーマにする方には、私もぜひ力になりたいです。
文学科フランス文学専修 小崎 ひよりさん
古フランス語で綴られた物語の初めての翻訳は、中世に読み書きされた言語に触れたことが嬉しく、楽しむことができました。写本の画像を見て、古フランス語訳、現代フランス語訳、英語訳などを見比べて解読し、読みやすい日本語に訳す経験をしたことによりフランス語の知識と理解が深まりました。そして脚注、参考文献の記し方といった論文を執筆する際の基本的なルールもしっかりと学べました。
しかしながらその工程は一筋縄ではありません。古フランス語は当時、その綴りが確定しておらず、中世フランス語辞典に載っていない単語がたくさんあって、想像や文脈から意味を類推しなくてはならなかったことから、暗号の解読のようで単語一つで翻訳が滞ることもありました。また狩猟や当時の官位といった当時の文化や社会など知らない事象が訳しづらく難航する場面がありました。
「学術的ではないな」と思えても、興味のある事柄を掘り下げてテーマを決めてみてください。熱中して、途中で決して嫌にならないと思えるからです。そしてバランスのよい食事を取り、十分な睡眠と休息、適度な運動を心掛けることが長期間に渡る執筆生活を乗り切る秘訣です。満足できる論文でなくても、焦って提出できなくならないように提出期限の2週間前には全体を読み返し、印刷を待つくらいの時間の余裕を持って臨みましょう。フランス文学専修の先生方は皆さん、学生一人一人を丁寧に指導してくださるので心配はありません。分からないことやアドバイスを仰ぎたくなったら早めにメールで進捗を伝え、相談することをおすすめします。きっと応えてくださいます。中世をテーマにする方には、私もぜひ力になりたいです。
No.08 一つのことを深くじっくりと考える機会になった
現代日本オリエンタリズム:国立博物館・美術館に見られる差異から
キリスト教学科 細野 一斗さん
多くの人が「避けられるものなら避けたい」と考えるのも、もっともなことだと強く感じるほど卒業論文を完成させることは非常に苦しい営みでした。自分で綴った10,000字を超える支離滅裂な文章を目の当たりにし、逃げ出したいと思うことが何度もありました。しかし、逃げずに深く考えると、私の、研究だけでなく人生に対する見解も同時に深まっていくのです。研究は学問のためだけにあるのではなく、自分自身のためにもあるということに気がつきました。このように一つのことを深くじっくりと考える機会になったことこそが、卒業論文を執筆することの醍醐味です。
上手く書けたつもりの文章を二日後に読み返すと気になる点が数多くありました。それを修正した文章も、後になって再び目を通してみるとまた気になる点が現れる。この修正を繰り返す過程に苦心したのは、それが一生終わらないような気がしたからです。
指導教員だけでなく、多くの教員に相談することで様々なヒントを得ることができることでしょう。但し、論文の展開が定まらなくなってしまうので相談した皆さん全員の意見を反映することはお勧めしません。あくまでもアドヴァイスとして受け入れ、論文に取り入れるか否かの判断を自分でしなくてはなりません。
キリスト教学科 細野 一斗さん
多くの人が「避けられるものなら避けたい」と考えるのも、もっともなことだと強く感じるほど卒業論文を完成させることは非常に苦しい営みでした。自分で綴った10,000字を超える支離滅裂な文章を目の当たりにし、逃げ出したいと思うことが何度もありました。しかし、逃げずに深く考えると、私の、研究だけでなく人生に対する見解も同時に深まっていくのです。研究は学問のためだけにあるのではなく、自分自身のためにもあるということに気がつきました。このように一つのことを深くじっくりと考える機会になったことこそが、卒業論文を執筆することの醍醐味です。
上手く書けたつもりの文章を二日後に読み返すと気になる点が数多くありました。それを修正した文章も、後になって再び目を通してみるとまた気になる点が現れる。この修正を繰り返す過程に苦心したのは、それが一生終わらないような気がしたからです。
指導教員だけでなく、多くの教員に相談することで様々なヒントを得ることができることでしょう。但し、論文の展開が定まらなくなってしまうので相談した皆さん全員の意見を反映することはお勧めしません。あくまでもアドヴァイスとして受け入れ、論文に取り入れるか否かの判断を自分でしなくてはなりません。
No.09 大学で何に取り組んだのかを明確にできた
「性器」の脱意味化と再意味化--無限に転位する「親指P=クリトリス」
文学科文芸・思想専修 鈴木 紗和さん
「男」「女」という二項対立した性のあり様が不均衡を含む規範として社会で機能し続けてきた点を踏まえ、そうした構図を錯乱する可能性を探ることの必要性を感じたことからテーマを定めました。
学生生活4年間で触れた様々な知識を一つの問題意識に集約し、読んだり考えたりしたことの断片を組み合わせて一つの論に編み上げることで、この学び舎に身を置いた期間で何に取り組んだのかを明確にできたことは大きな収穫です。その過程では異なる時期に書いた複数の文章を一貫したものにまとめなくてはならず、授業でのレポート以上に長い文章とすることで求められる矛盾や、過度な重複が生じないように配慮することに苦労しました。
これから卒業論文を執筆する皆さんには、
・こまめにデータのバックアップを取ること
・大学図書館にない図書・文献を手にするのは手間と時間を要するので、早い段階で入手手段の情報を収集し、確保すること
・注釈や文献情報にも目を配って論文全体を見渡せるように、予め時間的に余裕のある進捗計画を立てること
・文字数の調整や章節を組み直す際は、変更する本文と連動する注釈が適切かを逐一確かめること
の4つをアドバイスとして贈ります。
文学科文芸・思想専修 鈴木 紗和さん
「男」「女」という二項対立した性のあり様が不均衡を含む規範として社会で機能し続けてきた点を踏まえ、そうした構図を錯乱する可能性を探ることの必要性を感じたことからテーマを定めました。
学生生活4年間で触れた様々な知識を一つの問題意識に集約し、読んだり考えたりしたことの断片を組み合わせて一つの論に編み上げることで、この学び舎に身を置いた期間で何に取り組んだのかを明確にできたことは大きな収穫です。その過程では異なる時期に書いた複数の文章を一貫したものにまとめなくてはならず、授業でのレポート以上に長い文章とすることで求められる矛盾や、過度な重複が生じないように配慮することに苦労しました。
これから卒業論文を執筆する皆さんには、
・こまめにデータのバックアップを取ること
・大学図書館にない図書・文献を手にするのは手間と時間を要するので、早い段階で入手手段の情報を収集し、確保すること
・注釈や文献情報にも目を配って論文全体を見渡せるように、予め時間的に余裕のある進捗計画を立てること
・文字数の調整や章節を組み直す際は、変更する本文と連動する注釈が適切かを逐一確かめること
の4つをアドバイスとして贈ります。
No.10 卒論執筆は人生において唯一無二の貴重な経験
小学校における座席配置の変容と意味—歴史と経験に着目して—
教育学科 阿部 杏香さん
小学校教員を目指して教育実習に臨んだ私は、受け持ったクラスの席替えの場面に遭遇した際に、指導教員から「席替えにはたくさんの事項を考慮する」という思いを教わったことから「席替え」に興味を持ちました。
問いから外れた文脈の補正や、章節の接続を手直すなどして筋立てた文章に整えること、引用した文献を自分の言葉に置き換えることに腐心したものの、自身の問いについて深く掘り下げて調べたこと、インタビュー形式での学びが土台となって、それまでとは比にならないほどの長い時間をかけて、じっくりと論文に向き合うことができました。
1年間の執筆期間では困難に直面することもありますが、人生において唯一無二の貴重な経験になると思います。3年次には研究テーマが曖昧であっても指導教員と対話し、同じゼミ生と切磋琢磨することでそれを明確にしていく時間が十分にあります。決して恐れることなく、ぜひ執筆にチャレンジしてみてください。
教育学科 阿部 杏香さん
小学校教員を目指して教育実習に臨んだ私は、受け持ったクラスの席替えの場面に遭遇した際に、指導教員から「席替えにはたくさんの事項を考慮する」という思いを教わったことから「席替え」に興味を持ちました。
問いから外れた文脈の補正や、章節の接続を手直すなどして筋立てた文章に整えること、引用した文献を自分の言葉に置き換えることに腐心したものの、自身の問いについて深く掘り下げて調べたこと、インタビュー形式での学びが土台となって、それまでとは比にならないほどの長い時間をかけて、じっくりと論文に向き合うことができました。
1年間の執筆期間では困難に直面することもありますが、人生において唯一無二の貴重な経験になると思います。3年次には研究テーマが曖昧であっても指導教員と対話し、同じゼミ生と切磋琢磨することでそれを明確にしていく時間が十分にあります。決して恐れることなく、ぜひ執筆にチャレンジしてみてください。