教育学科 卒業生へのメッセージ

教育学科教員から、卒業する皆さまへのメッセージです。

教育学科を卒業するみなさんへ

 コロナ禍の只中で大学生活最後の1年を過ごすことになってしまった卒業生のみなさんにおかれては、文字通りの不完全燃焼となってしまったかもしれません。この1年はオンライン授業に頼らざるを得ない部分もあり、卒論指導ゼミでも、学生さんと教員が一度も直接対面しないままということもあったと思います。

 ですが、そうした状況を前向きに受け入れて、「オンラインでできること」を試行錯誤してくれた学生さんの姿に、むしろ教員の側が勇気づけられるところもありました。たとえば、教科教育法の授業では、自室の壁にカレンダーの裏紙を貼りつけて黒板代わりにして板書しながら授業したり、カメラのアングルを複数台で切り替えながら授業を構成したりと、大学の教室以外の場所で授業をするためのあらゆる工夫をしてくれました。こうした状況で出し惜しみすることなく力を注いだ経験は、必ずみなさんの糧となると思います。

 まだ終息の兆しも見えないなかで、「ウィズコロナ」、「アフターコロナ」といった言葉も生まれましたが、いずれにせよ、一度コロナ禍を経験してしまったら、それ以前の世界に戻ることはできません。このことは、奇しくもコロナ禍以前に作られた、新海誠監督『天気の子』の「水没した東京」に描かれているように思います。

 このような状況で、「教育」や「学校」の果たす役割がどのようなものとなるのか。今日の状況とこれらを切り離して考えることはできません。卒業生のみなさんは、大学生活最後の1年で、このことを考えなければならない最初の1年を過ごしたことになります。恐らくこれからそれなりに長い時間をかけて考えるべき問題となりますが、これまでの大学生活が、その支えとなってくれることでしょう。

 また、大学は、卒業単位を取得し、なにかの資格を取得するためだけに存在したわけではありません。卒業後であっても、みなさんは、あらゆる方法でいつでも大学に戻ることができます。実際に「恩師」に会いに来たり、当時の仲間と再会したりするだけではなく、大学で培われた、この世の中を「見る」ための思考法とでもいうべきものを、いま生活しているその場所で振り返ってみるだけでも、みなさんはいつでも大学に「戻って」いるといえます。ですから、いつでも大学に戻ってきてください。そして戻ることを忘れないでください。

 ご卒業、まことにおめでとうございます。


2021年3月24日        
教育学科長  渡 辺 哲 男