史学科 教員×学生座談会

松原 宏之教授 × 井村 麗奈さん、矢作 錬太郎さん、荒井 アンバーさん

2019/05/01

史学科

OVERVIEW

歴史を通して、現代社会やものの見方を探っていく醍醐味。

「史学科は就職に不利」と 両親は言ったけれど…。

(左から)松原 宏之教授、史学科超域文化学専修 3年次 井村 麗奈さん(神奈川県 山手学院高等学校出身)、史学科日本史学専修 3年次 矢作 錬太郎さん(東京都 都立国際高等学校出身)、史学科世界史学専修 4年次(2018年度) 荒井 アンバーさん(東京都 日本工業大学駒場高等学校出身)※座談会開催時の学年を記載しています。

松原 そもそもみんなはなぜ立教の史学科を選んだの?

矢作 やっぱり子どもの頃から歴史が好きだったということですよね。

荒井 私も歴史を学びたいとずっと思っていました。というのも私はハーフとして日本で育ったのですが、自分のアイデンティティを確立するためには両親それぞれの祖国の歴史を知ることが重要だと感じたんです。

井村 私も歴史が好きだったという点は同じです。あとは、環境ですね。

松原 史学科で学ぶというと、親御さんから反対されたりする?

矢作 両親から「就職に不利」と言われました。でも実績を見ても他学科と変わりはないですよね。探求の深さや広さはむしろ強みかも。今は両親も何も言わなくなりました。

学生それぞれがテーマを設定し独自の視点で歴史を考察。

(左から)矢作 錬太郎さん、荒井 アンバーさん

松原 それぞれの研究テーマを教えてください。

荒井 20世紀初期のインドにおける女子高等教育発展の背景と地位向上運動との関わりについてです。

矢作 かなりマニアックな内容ですね。

荒井 そもそも女性の地位向上を阻んでいるのは女性自身ではないかという考えが自分の中にありました。インドは多民族、多言語、多宗教で世界の縮図のような国。インドを研究することで、今後の社会を見通せるのではないかと思ったんです。

松原 資料探しが大変そうだね。

荒井 実はインド初の女子大学は日本の女子大学を参考に、1916年に創立されました。その女子大学にも資料を探しに行ったんです。

松原 おー、良いね。

矢作 僕はタイの奥地まで行きました。
松原 おーっ♡

矢作 近代史ゼミで、アジア各国における日本軍と労務者・捕虜との関わりを研究しており、泰緬鉄道を見に行きました。現代でも時間のかかる場所だから、当時はもっと大変だったはず。行くことで気づくことも数多くありましたね。

井村 私の場合、今はまだ決まったテーマはありません。ただ周囲はいろんなことに関心を寄せていて、友だちはムスリムの女性がかぶるヴェールの意味を知りたがっています。

荒井 そうした疑問を持てるのも、射程の長い史学科の面白みなのかも。

高校までの歴史の授業とは全く異なる学びが待っている。

井村 麗奈さん

矢作 みんなのテーマからも分かるけど、高校までの歴史とは内容がかなり違いますよね。

荒井 教職実習に行きました。高校は教える範囲も広いし入試も意識するしで、どうしても教科書に沿った内容になってしまいます。

井村 でも大学だと興味のあることを深く学べるから。超域文化学専修には癖の強い人が多いんだけど、それも許容してくれるのが嬉しい。

矢作 現代から見た過去だけでなく、当時の人の考えを探って現代と比較することが多く、そこに面白さを感じます。意外と今も昔も考え方に変わりがなかったりとか。

松原 将来については決まっていますか?

荒井 私はアパレルメーカーに内定しました。学んだことが直接役立つわけではないけれど、ものの見方や考え方などは役立つはずです。

矢作 僕も一般企業志望です。大学での専攻選びと同様で、興味のあることや、業種ではなく自分がそこで何をするのかで選びたいですね。

井村 私はまだ何も決まっていませんが、「人文学とキャリア形成」といった授業を参考に、これから考えていくつもりです。

多彩な学びで自分自身の研究を裏付ける。

矢作 錬太郎さん

松原 立教大学の史学科に入って気づいたこと、魅力について話してくれる?

荒井 私のゼミは半数が留学生です。先日取り上げたテーマは「第二次世界大戦中の日本の諜報活動」について。ディスカッションの際、私が全く問題として考えていなかったことを指摘していて、とても興味深かったです。卒論のテーマについて発表した時にも思いもよらない視点から意見を言ってくれたので助かりました。

松原 ほかに、図書館の居心地や蔵書数なんかにも気づいてくれてる?

矢作 僕は使っていますよ。映画が好きで、現代のものから名作と呼ばれるものまで揃っていて。池袋にないものは新座から取り寄せられるのが便利です。

松原 学生さんを支える仕組みがたくさんあるよね。

矢作 僕は文学部にある他学科の授業を履修できることに魅力を感じました。一見関連がないように思える授業の中にも自分の研究テーマと共通点が見つかりました。
今のわたしを作る、この一冊。(松原 宏之教授)
文化人類学者のように先住民の声に耳を傾け、対話を重ねた末の思考を、おりゃっと書いてみせる快作。歴史学のワクワクがぎゅっとつまった一冊です。

ラディカル・オーラル・ヒストリー
—オーストラリア先住民アボリジニの歴史実践

保苅 実 著
岩波現代文庫/2004年9月
井村さんの、この一冊。
この本に収録されている「さらば映画よ」を自分の自己に対する考えが更新するたびに読んだ。読むたびに見え方が変わっているのが面白い。

戯曲 毛皮のマリー・血は立ったまま眠っている
寺山 修司 著
角川文庫/2009年2月発行
矢作さんの、この一冊。
高校の担任の先生が、「史学科に進みたい」と言ったら紹介してくれた本です。実在する話も多く出てくるので、歴史を愛する者として、心が踊らされます。

ベルリン飛行指令
佐々木 譲 著
新潮社/1993年1月発行
荒井さんの、この一冊。
初めて読んだ中学生の時も今も、迷うことはまだまだ沢山ありますが、読み終わった後にはいつも「まあ、明日も頑張るか」とちょっと元気になる一冊です。

カラフル
森 絵都 著
文藝春秋/2007年9月発行

プロフィール

PROFILE

松原 宏之教授

史学科超域文化学専修 教授。カリフォルニア大学サンタクルーズ校大学院歴史学研究科、PhD(歴史学)。
アメリカ史、政治文化史、ジェンダー史。




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